ふじのまちだより
【10月号】アルコールの付き合い方
だんだんと涼しくなり、秋の夜長に晩酌を楽しむ方もいるのではないでしょうか?
ついつい飲みすぎてしまったり、眠れないからと毎日寝酒を飲む方、一口で真っ赤になり酔ってしまうから全く飲まない方などアルコールとの付き合い方は人それぞれかと思います。
皆さんはアルコールとの適切な付き合い方をご存じでしょうか?

アルコールと身体
アルコールといえば「肝臓」ですね。アルコールは主に肝臓で代謝されます。そのため、飲酒量・飲酒習慣によって肝臓への負担は変化していきます。負担が増えれば、脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝がんなど様々な疾患を引き起こす可能性も高まってきます。また、アルコールは肝臓だけでなく「脳」「すい臓」「心臓」「神経」「消化器」「精神」など様々なところに影響し、疾患の原因にもなります。
【脳】
萎縮を促進させる
【すい臓】
すい炎の原因になる
【心臓】
心筋炎や高血圧になる可能性がある
【神経】
栄養の偏りからしびれなどを起こす
【消化器】
食道がんや静脈瘤の原因になる
【精神】
うつ病や依存症になる可能性がある
【筋肉】
筋肉の分解を助長し筋力低下を招く
【結石】
胆のうや腎臓に結石ができる可能性がある
その他にも痛風の原因や寝酒は、入眠はよくするが中途覚醒を起こし睡眠の質を悪くするなどアルコールは私たちの身体に影響を及ぼします。もちろん適切な量を守っていれば絶対飲んではいけない物ではありません。
アルコールの適量
厚生労働省では「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として1日当たりの純アルコール摂取量を下記の通りに示しています。また、休肝日を設けることもとても大切です。適切量の飲酒の場合、理想の休肝日は2~3日に1回(週2日以上)です。ただ、飲んだお酒の量や本人の体重、肝臓のアルコール代謝能力の違いがあるため週に2日では足りない場合もあります。また、飲んでいなかった期間分たくさん飲んでいいというわけではありませんのでご注意ください。
生活習慣病のリスクを
高める飲酒量
1日当たりの純アルコール摂取量
男性
40g以上
女性
20g以上
| 種類 | ビール | チューハイ | ワイン | 日本酒 | 焼酎 | ウイスキー |
| アルコール分(%) | 5% | 7% | 12% | 15% | 25% | 43% |
| 純アルコール量20g | 500㎖缶 1本 | 350㎖缶 1本 | 小グラス (200㎖) 2杯 | 1合(180㎖) | コップ半分 (100㎖) | ダブル1杯 (60㎖) |
純アルコール量(g)=お酒の容量(㎖)×〔アルコール度数(%)/100〕×0.8※ ※アルコール比重
アルコール体質
たくさんの方とお話をしていると「肝臓が強いから病気にはならないよ。いくら飲んでも酔わないから」という方もいらっしゃいます。しかし、アルコールに対しての反応が体質や病気になりにくさを表しているわけではありません。いくら酔わないからと言っても身体には負担はかかります。
当院では、遺伝子からアルコール体質を検査することができます。遺伝子検査のため1度検査していただければ、その後結果が変わることはありません。
A お酒が残りやすくアルコール依存症に最もなりやすいタイプ
B お酒好きになりやすいタイプ
C お酒に弱いのに顔にでにくく食道がんに最もなりやすいタイプ
D お酒に弱く顔が赤くなり食道がんになりやすいタイプ
E お酒がまったく飲めないタイプ と5つのタイプで診断できます。
口腔内の細胞を綿棒で採取する簡単な検査です。自由診療扱いのため料金は税込5,280円になります。
お酒好きの方やご家族に食道がんになった人がいる方、お酒での死亡事故を防ぐ意味としてもご自身の体質を知るいい機会になると思います。気になる方は、お気軽にスタッフにご相談ください。
最後に
今、飲酒習慣はあるが症状がないから大丈夫と思っている方も注意が必要です。肝臓は沈黙の臓器です。悲鳴を上げるころには病態が進んでしまっていることが多いです。特にこれからの時期は、クリスマスや年末年始などお酒を飲む機会も増えると思います。お酒好きの方に一滴も飲んではいけないとは言いません。ご自身の身体のために、相手の身体のために適切な量・頻度でお酒と付き合っていきましょう。そして、健診時などには腹部超音波で肝臓の状態を確認しましょう。
