【11月号】肥満症って?

最近CMなどでも耳にする「肥満症」とは何かご存じですか?
ただ単に「体重が多め」というだけではなくしっかりとした判断基準があります。「肥満症」とは何か?肥満はなぜよくないのかなど学んでいきましょう。

肥満症とは?

実は、肥満症の診断基準が策定されてから25年が経っているのです。ここ数年で様々な新薬が販売され、より注目を浴びるようになりました。ご自身の体形・体重に不満があり痩せられるなら…と治療を受けようとする方もいらっしゃいますが、「肥満症」として保険適応で治療を受けるにはしっかっりとした判断基準があります。

上記の基準をもと専門医が治療をします。BMI25以上35未満の肥満症の方は、現体重の3%、BMI35以上の高度肥満症の方は現体重の5~10%の体重減少を目標とします。「肥満症」の治療はまず【食事療法・運動療法・行動療法】から始まります。6ヶ月間栄養指導などを受け、生活習慣の改善をしても目標の体重に達しない場合は、医師の判断で【薬物療法】へと移行することがあります。また、BMIの数値や健康障害の種類や程度によっては、【外科療法(胃切除)】を行うこともあります。肥満症と合併症や基礎疾患の状況により医師が治療法を選択します。
なぜ、【食事療法・運動療法・行動療法】から治療が始まるかわかりますか?それは、たとえ薬物療法や外科療法で体重が減少したとしても食生活が改善されていなければ・運動習慣が身についていなければ・体重減少に向けての意識や行動がわからなければ…また同じ生活で体重も戻ってしまうからです。

薬物療法について

肥満症に対して使用される薬剤は、GLP-1受容体作動薬、食欲抑制薬(サノレックス)、漢方薬があります。それぞれの作用についてみていきましょう。

GLP-1受容体作動薬  =注射薬=
  • 代表薬:ウゴービ(セマグルチド)、ゼップバウンド(チルゼパチド)
  • 作用:胃内容物の排出遅延、食欲抑制、血糖値コントロール など
  • 使用条件:食事療法など6ヶ月間治療し、十分な改善が見られない場合のみ保険適応となる
  • 副作用:主に消化器症状(吐き気、下痢、便秘など)で、投与量増加時に出やすい
食欲抑制薬  =内服薬=
  • 代表薬:サノレックス
  • 作用:脳の食欲中枢に作用し、空腹感を抑える
  • 使用条件:高度肥満患者に対してのみ、原則3か月以内の短期間使用
  • 副作用:口渇、便秘、悪心、嘔吐
漢方薬  =内服薬=
  • 代表例:防風通聖散、防已黄耆湯、大柴胡湯
  • 作用:体質改善や代謝促進を通じて肥満症に効果
  • 副作用:比較的副作用が少ない、発熱や咳嗽などが出た場合は使用中止

薬には、作用もあれば、副作用もあります。漢方薬などは、比較的に副作用の少ない薬ですが、まったくない薬はありません。医師は、副作用などのデメリットよりも薬を使用することによって得られるメリットの方があると考え薬を処方しています。「体形が気に入らないから薬で痩せよう」と考えネット購入される方もいらっしゃいますが、痩せるという本人のメリットよりも副作用や体重減少に伴う健康障害などのデメリットの方が上回ってしまう可能性があり危険です。薬を使用する際には、必ず医師に相談しましょう。

肥満の影響

肥満の方は健康障害を起こしやすくなります。
臓器に脂肪が蓄積されやすく、心臓では血管や心臓自体にも負担が増え、高血圧や心筋梗塞・狭心症などを起こしやすくなります。また、肝臓に蓄積されると脂肪肝となり、肝臓がんや肝硬変などに移行する可能性があります。脂肪が蓄積された状態が続くと臓器は機能低下や慢性的な炎症が続き、がんのリスクも上がります。実際に様々のがんのリスクファクターには肥満が記載が多くみられます。血管内にプラークという塊も形成しやすく、その場で詰まったり、剥がれ流れた先で詰まってしまいます。これが心筋梗塞や脳梗塞・肺梗塞・末梢壊死の原因になります。
その他にも体重を支える関節にも負担がかかるため歩行障害などを起こす可能性もあります。
今は大丈夫でも今後のことを考え、治療されることをおすすめします。

最後に

健康診断を受けられる方の中には「小さなころから肥満体形で気にしていない」という方がいたり、特に糖尿病もなく、BMI25以下でもマンジャロなどを使用している方もいらっしゃいます。自身の理想の体形や体重は、個々によって異なると思います。しかし、健康障害が出る可能性のある体形・体重などは基準があります。痩せすぎも太りすぎもどちらも身体には負担をかけてしまいますので、健康診断結果などでご自身の体形・体重は問題がないか確認しましょう。